相続法の改正3(遺言書に関する制度の見直し)
京都市中京区所在の西谷・三田村法律事務所の弁護士の西谷拓哉です。
さて、引き続き、2018(平成30)年7月6日に国会で成立した相続法の改正法案についてご紹介していきます。
第3回目は、遺言書についてです。
~自筆証書遺言の作成が簡単に!?~
これまで、遺言書を自分で作成するためには、
「遺言書の全文、日付、氏名を自分の字で手書きで作成(自書)し、押印する」
ことが必要でした。
不動産や預金の相続に関する遺言書を、全て手書きで作成するのは非常に大変な作業でした。
それが、相続法改正により
「自筆証書遺言中、財産の特定に財産目録を作成し利用する場合、財産目録は、パソコンで作成した目録や、登記事項証明書や預貯金通帳の写しの添付でも良い」ということになりました(改正民法968条2項)。
ただし、当該目録等の全部の頁に、遺言者が署名・押印することが必要です。
※なお、遺言書本文と目録の契印までは求められていません。
~自筆証書遺言の保管制度創設~
自筆証書遺言は、遺言者の死亡後すぐに有効なものとなるわけではなく、家庭裁判所に対して、遺言書の検認の申立てというものをしなければ、遺言に基づいた相続財産の処理を行うことができませんでした。
今回、自筆証書遺言の作成を簡易化する改正が行われたことと併せて、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(=遺言書保管法)が新たに成立しました。
この法律により、自筆証書遺言の遺言者は、法務局(正確には法務局の遺言書保管官)に作成した自筆証書遺言を保管してもらうことができるようになります。
この保管制度により保管された自筆証書遺言は、検認の手続きが不要であり、相続登記や預金等の解約をすみやかに行うことができるなどの利点があります。
~遺言書に関する制度の見直し規定の施行日~
すでに自筆証書遺言の作成の簡易化については、2019(平成30)年1月13日をもって施行されましたので、簡易な方法で自筆証書遺言を作成することが可能になっています。
遺言書保管法については、法務省のHPによると2020年7月10日と定められたということです。
当事務所では、自筆証書遺言作成のご相談も承らせて頂きますので、ご検討くだされば頂ければ幸いです。
また、これまで通り、公正証書遺言作成のご相談もお気軽にお申しつけください。
つづく “