相続法の改正6(特別の寄与の制度)

京都市中京区所在の西谷・三田村法律事務所の弁護士の西谷拓哉です。

さて、引き続き、2018(平成30)年7月6日に国会で成立した相続法の改正法案についてご紹介していきます。

第6回目は、新しく相続法の改正で設けられた「特別の寄与の制度」についてです。

これが相続法の改正シリーズ最後のコラムとなります。

~特別の寄与の制度とは?~

 これまでは、たとえば、長男の妻が、長男の父の看護を長年に渡り行ってきたというような事情があっても、相続人ではないので、長男の父の看護を長年に渡り見てきたとしても、父の相続に関して妻には原則として何らの請求権も無いのが通常でした。

 改正相続法はそのような不都合に対応するため、

①被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、

②被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人や相続放棄した人物などを除く)は、

③相続開始後に、寄与に応じた額の金銭を請求できる

ことになりました(改正民法1050条)。

~家庭裁判所に申し立てることも可能!~

 特別の寄与料の請求については、相続人との間で協議が整わないときは、家庭裁判所に申し立てることができます(改正民法1050条2項、3項)。

 ただし、この請求は、相続の開始及び相続人を知ったときから6カ月間、又は相続開始の時から1年間(いずれも除斥期間と言われており、延長はできません)を過ぎてしまうと請求ができなくなるので注意が必要です。

~特別の寄与の制度の施行日~

法務省のHPによれば、

特別の寄与の制度に関する規定は、2019年7月1日から施行されることになっています。

おわり