建物明渡請求の流れ

京都市にある西谷・三田村法律事務所の弁護士の三田村智彦です。

今回は、賃料を滞納されている方に退去してもらう場面についてお話ししたいと思います。

賃料を滞納されている場合、誤解されている方もいるかもしれませんが、賃貸借契約を解除すれば直ちに強制的に退去を実現できるわけではありません。
例えば、家の中の荷物を強制的に家の外に運び出したり、家の鍵を勝手に変えてしまうことは違法とされる可能性が極めて高い行為です。

賃料を滞納されている方を退去させる方法は、(弁護士に依頼される場合)下の図にあるとおり、裁判上の和解や判決を得たうえで、強制執行手続によらなければ強制的に退去されることはできません。

明渡し

賃料の滞納があるからといって、安易に家の鍵を無断で変えたりなどするのではなく、弁護士に相談されることをお勧めします。
賃料の滞納が長く続けばそれだけ、未払いとなった賃料が払われないリスクは高まります。
また、強制的に退去させるには裁判や強制執行の手続をとらなければなりません。しかし、ご自身で訴訟を提起し、強制執行手続をとるのは専門的な知識がない状況であれば非常に大変な作業となります。

一つの目安ですが、3か月の賃料滞納があれば建物明渡訴訟を提起しやすいので、遅くとも賃料滞納が3か月続くようであれば弁護士に相談された方がよいです。
もっとも、賃料滞納が続けば強制的に退去しなければならなくなることも見越して、賃料滞納があった段階で、弁護士に滞納賃料の請求をしてもらったり、相談に乗ってもらっておけば、賃料滞納が3か月に及んだ段階で弁護士に訴訟の依頼をしやすいかと思います。